もともと、「掛け目」とは現金以外のものを担保に資金調達をする、担保融資で使用されている言葉です。金融機関が貸付を行う際に、担保価値を算定するための率のことを(担保)掛け目といいます。
金融機関は、借り手が返済の延滞などが起こすといったリスクを回避するために担保を取ります。あらかじめその担保を査定して評価金額をつけ、万が一、借り手から回収が困難になった場合、担保を差し押さえて資金の回収を図ります。
担保の算定は、【担保の評価金額 = 担保の時価】ではありません。
実際は、【担保の評価金額 = 担保の時価 × (担保)掛け目】で算定します。
その中で、確実に回収が見込める預金は100%、上場株式は80%前後、不動産は70%前後などといったパーセンテージが掛け目となります。
掛け目がかけられることで、担保の評価金額は下がることが大多数です。金融機関では、この評価金額を上限に貸付を行うことが一般的な担保融資としています。
ファクタリングは売掛債権の売買になるため、お金を貸す融資とは異なります。担保融資では担保の査定に利用された掛け目ですが、ファクタリングでは売掛債権の査定に利用されます。
担保融資同様、ファクタリングでの掛け目は売掛債権の評価額の割合で利用されています。売掛債権の額面上、買い取られない金額は「仮押さえ金・留保金」として扱われ、その債権上では現金化できません。
では、ファクタリングではどのように掛け目を決めているのでしょうか。
ファクタリングにおいての掛け目も、預金や不動産によって率が変わるように、売掛債権の信用度や、2社間ファクタリング・3社間ファクタリングといった契約方法により変動があります。
掛け目の大きさで言えば、
上記のように、利用するファクタリングの契約や、売掛先によって掛け目が決められているのが多い傾向にあります。回収リスクが大きくなるにつれ、比例して掛け目も大きくなり、売掛債権の額面内で買い取れる割合に変動があるのがファクタリングにおいての掛け目となります。
ファクタリング会社のホームページの多くに、手数料○○%~といった記載があるかと思います。それでは、手数料と掛け目はどのような違いがあるのでしょうか。
ここでは一般的なファクタリング会社で使われている、手数料と掛け目の扱い方について説明します。
手数料と掛け目の明確な違いは「返金されるか・されないか」の違いにあります。
掛け目は上記で説明したように、売掛債権の中での評価金額を決める割合。つまり、売却したい売掛債権内で買い取れない額を決めるものが掛け目になります。
手数料は売却したい売掛債権からファクタリング会社へ支払うものになります。これはファクタリング会社によって、上下の幅が広いものになります。2社間ファクタリング・3社間ファクタリングでの違いはもちろん、利用実績やよっても手数料は変動します。
したがって、手数料は回収した売掛金からファクタリング会社に支払う金額になり、返金されることはありません。
一方で、掛け目は売掛債権内で買い取れない金額になるので、売掛金が全額回収された後、返金される金額となります。
例えば、100万円の売掛債権を売却する場合、
掛け目:20%
手数料:15%
上記のパターンでファクタリングを利用した時のケースを見てみましょう。
この68万円が早期に現金化できる金額となります。
100万円も売掛金があるのに、現金化できる金額が少なく感じるでしょうか。実際には、売掛先から売掛金が支払われた時、満額の支払いを受けられれば、掛け目で買い取れなかった20万円は返金されるので、早期資金化されずとも、現金は支払われます。
掛け目と手数料はファクタリング会社により扱いが様々で、掛け目の中に手数料も含まれている場合もあります。
時間に余裕があれば、実際に複数社に見積もりを取り、買い取り金額が大きく、手数料が安い会社を探すことをおすすめします。