複数社利用する前に注意点をチェックしておきましょう
ファクタリング会社を複数社利用することは違法ではありません。ファクタリングで資金を手にしたけれど足りなかった、という時は他の資金調達の手段を考えればならず、2社目、3社目とファクタリング会社を利用しなければならない状況に陥ることもあるでしょう。
ただし、ファクタリング会社を複数社利用する場合には、いくつか注意点があります。あらかじめ確認をしておくことで、トラブルになることも未然に防げます。ぜひ参考にしてください。
すでに売掛債権をファクタリング会社に売却・譲渡してしまった後に、同じ債権を別ファクタリング会社に売却・譲渡することを売掛債権の二重譲渡と差します。
ファクタリングサービスは目に見える資産の売却・譲渡とは異なり、現在売掛債権の権利がどこにあるのかが判別しにくいというデメリットを持っています。たとえファクタリング会社にすでに売却・譲渡をしてしまっていたとしても、権利の保有先は基本的に判別がつきません。(債権譲渡登記が登記されている場合は、他社を利用中という一つの目安となります。)
売掛債権の二重譲渡は違法行為です。他社利用中のまま、他のファクタリング会社を利用する場合、特に気をつけていただきたいのが、小口取引が多い業種です。
どの売掛債権を既に売却・譲渡したのかを全て把握しておきましょう。さもなければ、偶発的に二重譲渡をしてしまった、ということになりかねません。
売掛債権が目に見えない権利ということを逆手に取り、故意的に一度売ってしまった売掛債権を他社に売却してしまうという経営者もいることは事実です。
二重譲渡を意図的に行ったと判断されれば、詐欺罪・横領罪などの罪に問われる場合もあります。
二重譲渡をするとどうなるのか、中古車に置き換えてわかりやすく説明します。車を売ると言ってA社で売買契約を結んだにもかかわらず、B社の中古車屋にもその車で売買契約を結んでしまう。
結果的に一時的に資金は手に入るものの、実際に納車する日になるとどうなるでしょうか?
A社とB社、契約を結んだ中古車屋の片方には納車ができるとは思いますが、もう一方には納車ができなくなります。納品されなかった中古車屋からは督促などが来ると思いますが、実際車は手元にありません。最悪の場合、横領罪や詐欺罪の罪に問われる可能性もあります。
トラブルを避けるためにも、ファクタリング会社へのお支払いが済んでいないものに関しては特に、契約期間内の契約書類や、請求書などは全て保管しておきましょう。
他社を利用したことや、利用中だからといって審査でマイナス評価になることはありません。ですが、他社を利用したことがある、している状況で、利用したことがない、と虚偽の発言をしてしまうと、信用度に関わってきます。
他社へ乗り換え、もしくは同時進行で他社のファクタリングサービスを利用したい場合、新しく申し込んだファクタリング会社でも審査が入ります。
通常であれば審査に必要な書類の一つに、入出金のわかる通帳のコピーなどの提出を求められます。ファクタリング会社は通帳の入出金の確認をした際、通帳の履歴にファクタリング会社の名前が記載されていれば、過去にも他社を利用していることがわかります。
特に2社間ファクタリング契約では、事業者とファクタリング会社間の信用は大きなファクターです。間に売掛先を挟まないことにより、ファクタリング会社は売掛金の回収のリスクを負うことになります。
虚偽の申告は審査結果にも響いてくる可能性もあるため、他社利用中ということを隠すことは控えましょう。
複数社利用することの大きなデメリットの一つです。
ファクタリングを利用している方の多くは、早く資金を調達する必要がある、時間を多くかけていられない、といった理由です。
申し込んだ複数社それぞれに対して書類を用意する時間、面談の日程調整など時間や手間が思う以上にかかってしまいます。
手数料も同様です。それぞれのファクタリング会社に事務手数料を支払う結果になり、結果として買い取り金額が想定以下のものになってしまった、というケースも少なくありません。
また、ファクタリング会社の中には、他社利用中であるからといって、手数料が上がってしまう場合もあります。これは前述した通り、売掛債権を二重譲渡している可能性を危惧し、支払いが正しく行われないリスクをファクタリング会社が負うためです。