ここまで貸金業の登録をしていないファクタリング会社は融資を行えない、ということを説明してきました。
では二つを比べた時、明確にどのような違いがあるのでしょうか。
ここではわかりやすく、目安となる金額や日数などで紹介していきます。もちろん、利用される会社や機関によってはここで紹介したもの異なる場合があります。あくまで目安として参照ください。
調達できる金額
融資やビジネスローンには限度額が決まっています。
ビジネスローンの限度額は500万円前後に設定している会社が多く見受けられます。一方で銀行融資や公的機関の融資は数千万円から億近くまでの融資を受けることも可能です。
ビジネスローンでは銀行融資に比べて限度額が低いですが、審査が通りやすい傾向です。一方で、大規模な融資を求める場合は公的機関や銀行融資が有用です。
ファクタリングは自社で保有している、未回収の売掛金の額が限度額になります。その中から手数料や掛け目などが引かれ、実際には「売掛金の額=調達できる最高額」にはなりにくいと考えられます。
しかしながら、売掛金はトラブルがなければほぼ確実に回収のできる資金のため、資金繰りが一時的に厳しくなった時などに利用されます。
銀行融資・公的機関の融資はビジネスローンに比べて低い金利で設定されています。利息も法律により定められており、上限が年率20%までと決まっています。
しかしながら、融資やローンは返済期間が長くなればなるほど、金利が高く設定されています。これは返済が終えるまでの間に不足の事態が起きた場合、返済が途絶えてしまう可能性を踏まえて、リスクを抑えるためでもあります。
ファクタリングサービスは金利ではなく、ファクタリング会社に手数料の支払いがあります。
ファクタリングは利用するファクタリングサービスによって手数料が変動します。利用の多い2社間ファクタリングでは、ファクタリング会社により変動が大きいですが、10%~20%程度が相場でしょう。また、売掛先にもよって手数料の率が変動します。
ファクタリングでは債権の売買にあるため、利息制限法のように上限が定められていません。悪質なファクタリング業者は高額過ぎる手数料で進めてくるところも。トラブルを避けるためにも、数社に見積もりを取るなど安全策を取りましょう。
融資での審査対象は融資を受ける「自社」です。
審査では自社の財務内容や、赤字決算や税金の滞納がないか、などを見られます。赤字決算が続いていたり、債務超過をしているとなれば、自社の返済能力が低いとみなされて審査に通りにくいと考えられます。
銀行など貸す側にとっては「お金を貸したとしても、その会社がしっかりと返してくれるかどうか」が大事になってくるため、融資の審査は厳しくなる傾向にあります。
ファクタリングでの審査対象は「売掛先」です。
ファクタリング会社は、基本的に利用者の返済能力の有無は重視しません。
ファクタリング会社が重要視するのは、「売掛先が確実に売掛金を支払ってくれるかどうか」ということ。取引実績がある契約先はもちろん、新規の受注でもこの先長く取引される見込みがある取引先などであれば、比較的審査は通りやすいと言えます。
また、二重譲渡の危険性がないか、架空の債権ではないかなども審査の一部です。ですが、融資に比べて自社の返済能力が重視されない分、柔軟な審査ができるので審査の通過率は融資よりも高く見込まれます。
返済日・支払い日
銀行融資やビジネスローンには様々なプランがあり、分割払いや一括払いなどがあります。
一時的な資金繰りを改善するための短期的な借り入れや、事業の拡大に伴って長期的に借り入れをするといった、利用者の返済状況によって返済プランが柔軟に変えられるのが特徴です。
ファクタリングは基本的に返済というものがありません。
3社間のファクタリングの場合は、売掛先から直接ファクタリング会社へと支払いがあるため、利用者に売掛金の回収の責任はありません。
2社間ファクタリングの場合、売掛金が売掛先から入金・支払いされれば、その売掛金をファクタリング会社に一括払いで支払いします。
ファクタリングは融資ではないため、分割払いができません。貸金業の登録をしていないファクタリング会社が分割払いをしてしまうと、貸金業法に触れてしまいます。ファクタリング会社から分割払いを勧めてきた場合、闇金業者の可能性もあるため、注意しましょう。
会計面の違い
融資やビジネスローンを受けた時、これは「お金を借りた行為」となるため、「負債」になります。
返済期限などにより、負債の種類は変わってきますが、返済の義務があるマイナスの財産になります。
例えば、100万円を借り入れた時の仕訳は下記のようになります。
借方科目 |
金額 |
貸方科目 |
金額 |
現金預金 |
100万円 |
借入金 |
100万円 |
ファクタリングは自社が持っている資産の売却取引にあたり、融資取引にならないため借入金の増加はしません。つまり、帳簿上の「負債」が増えることはありません。
例えば、100万円の債権をファクタリングで売却した時のの仕訳は下記のようになります。
借方科目 |
金額 |
貸方科目 |
金額 |
現金預金 |
100万円 |
売掛金 |
100万円 |
※実際は手数料等がかかるため、「債権売却損」が借方科目に追加されます。
詳しくはこちらの記事をご参照ください。